電気のついていない2階の階段から下を覗いた時、窓がついていないその1階への階段は、真っ暗闇で、闇がその時に本当に黒いと思った。
たった10何段しかないその階段は、その暗闇の中に永遠に続いていくようにさえ思えた。
これは私が夫、堂園の実家に同居していた頃のある日に感じたことなのだが、それが今でも一番印象的だ。
1995年の冬のことと思う。
私は27歳で、堂園が28歳。結婚して4年目のこと。
思えばそれからもう20年近くなるが、今でもその黒さをはっきりと思い出すことが出来る。
その時、実家の1階では、堂園、義理の父、母がこれからの資金繰りのことで話し合っていた。まだ本当の事態を知ることのなかった私だったが、なにか胸騒ぎがして落ち着かず、心配してそっと2階の階段の上から1階を覗いてみた訳なのである。
そうまさに、そこから私は、いや私たちはこれから長く続く暗闇に入っていった。
いや、むしろもう何年も前から渦中に居たのかもしれない。
無知な私たちはそれに気がつかなかっただけなのだ。
20年を節目に少しづつ振り返ろうと思う。
*気長に次回をお待ちください、、、、m(_ _)m