【電子商店繁盛記 Episode=0 】涙、涙のお引越し

結婚してから4年。それまで別居していた私たちだったが、会社の危機的状況により彼の実家に同居することになった。

私たちの使用できる部屋は、4畳と使用しない家具を押し込む4.5畳の納戸の2つだけ。4畳の部屋は今まで使っていたソファーをおくと、賞味1畳くらいのスペースしかない。布団を敷くと、堂園の足は部屋から飛び出した(笑)

今まで使っていた家具は、悔しいのでどうしても全部持っていきたかった。

4.5畳の納戸に奇跡的にほとんどの家具を押し込んだ。まあ、まだ結婚して4年なので今と比べて持っていた家具も少なかったということもあるが、それでも2DKのマンションに置いてあった家具をすべて押し込んだのは我ながらよくやったと思う。

しかし残念ながら、冷蔵庫、洗濯機は使うこともしまうことも出来ないため、洗濯機は屋上にブールーシートに包んで置いた。冷蔵庫は実家で使っているのがもう古かったため、交換して使ってもらうことにした。

屋上に置いた洗濯機だけが、外に置くことになったのでそれだけが本当に悲しかった。

引越しは、実家は兼事務所なのでメーカーさんも来るため、同居するのに引越ししている所を見られたら、大変なことになってしまう。

この会社大丈夫なのか?という具合に。

事実大丈夫ではないのだが(笑)

なので、少しずつ近所にもわからないようにひっそりと、何日かにわけて引越しした。

夜逃げではないが、人に知られてはならない引越しをすることになるなど誰が夢にも思おうか。

家具をすべて搬入し、アパートの引渡しが翌日になった最後の日。

ぎりぎりまでそこに住みたくて、布団だけ残して家具も何もない部屋に寝た。

がら~~んとして、声が響く部屋。

この時、はじめて怖いなあって思った。

その部屋も怖いし、これからのことも怖かった。27歳といえば、家を持ったり、家族が増えたりと夢多き年代ではないか?私たちのしていることと言えば、ただただ後ろ向きに、逃げるように引越しをしている現実があるだけだ。

アパートを引き払う日。不動産屋さんに部屋を確認してもらい、鍵を返すのだが、あいにく堂園が仕事があり私1人が立ち会うことになった。

がらんとしたアパートに1人、不動産屋さんが来るのを待ったが、悲しくて、悲しくて涙がこぼれそうになったが、泣き顔で不動産屋さんに会ったら何事かと思うだろう。

残っていた新聞を読んで気を紛らわした。でもやっぱり涙が出そうになって、急いで上を見上げた。気に入っていたアパートだけに本当に悲しかった。

なんとか、不動産屋さんに鍵を渡し、自転車で実家に帰る途中、我慢していた涙が溢れ出た。

 

*気長に次回をお待ちください、、、、m(_ _)m