【電子商店繁盛記 Episode=0 】お水の世界に??

ホームページを立ち上げよう!

という私たちなりの、新しいビジネス。

これはその後、私たちを助けてくれることになるのだが、その当時はそんなこと夢にも思っていなかった。

堂園はそれから、昼間は卸の仕事、夜はホームページ作りに没頭した。

私は、手伝うことも出来ないし、やることもないので、また月3万のお金ではやはり心細かったので、夜はバイトをすることにした。そう、お水の世界に飛び込んだのです。というのはウソです。

液体は液体でも血液の世界に飛び込んだ。

夜の6時~9時の3時間、都内各地の病院で採血され集められた血液を、私がバイトに行ったその民間の会社で検査するのだが、その検査の前段階の準備のバイトを週3回だったと思うのですが、はじめることにした。

夜なので時給も高いし、3時間という時間も短い。作業は白衣を着て行うが、白衣を着て仕事をするっていうのも、なかなか面白かった。

検査する前の準備というのは、血液を遠心分離機にかけたり、ベルトコンベアーに試験管に入った血液を、どんどん流していく(結局流して、何をしていたのかは忘れてしまった)作業とか、常時10名くらいが、各作業を担当していくという仕事。

たまたま見つけた仕事だったが、私が今まで見たことのない世界だった。

そっか~血液検査します、って言われて例えば近くの病院で採血した血液がもしかしたらここに来ていたのかもしれないなあ~とか、アイスボックスに血液を入れて、その会社に戻ってくる営業?の人たち。あ~こういうアイスボックスぶら下げている人、病院で見かけたことあるよ、とか思いながら、まったく違う世界にいるのも逆に気が楽だった。

でも結婚して、まさかこんなアルバイトをするとはと、人生って何がおこるかわからないとつくづく思った。しかも、働いているのは20歳前後の子ばかり。大学が終わってから来る子だったり、司法試験を目指して頑張っている子だったり。私は当時28歳。思いっきり最年長で、むしろ職員さんに近い側。

ただ、なぜか親しくしてくれた21歳と19歳の女子大生と女子短大生がいて、ねーさん、ねーさんと仲良くしてくれて、ごはんを食べに行ったり、彼女たちのアパート(二人とも一人暮らし)に遊びに行って、夜中までおしゃべりしたり。つらい時代でしたが、彼女たちのおかげで、本当に救われた。

彼女たちとは、1年半の付き合いだったにも関わらず、20年近くだった今でも2年に1度くらい会って食事をしたりしている。不思議な縁だ。

アルバイトをやめる時は、職員の方も非常に残念がってくれた。

何の仕事でも、真摯に一生懸命に取り組めば、必ず結果が出る。たとえ、それはバイトでも。

生活費の足しというより、遊ぶお金欲しさにはじめたバイトだったが、今になってみると本当に貴重、というか縁と同じで不思議な1年半だった。