【電子商店繁盛記 Episode=0 】出会い

昼間は卸の仕事、夜はホームページ作りと没頭してきた堂園だったが、ようやくそれらしいホームページは出来上がった。

残念ながら、当時のページは保存していないが、照明器具だけでなく家電品も掲載していた。ただただ縦一列に商品を並べているだけだった。

でも教えてくれる人もいない、今と違ってツールもない。書籍の種類も少ない中で、ウインドウズを使いながらも、MACのテキストを買って、それでもあーでもない、こーでもない、とよくここまで漕ぎつけたと思う。

しかし、まったく売れなかった。

私の兄も当時インターネットをやっていて、ページを見てもらったが、

何のお店かわからない

という感想だった。これにはなかなか痺れた。照明器具を売ろうと思って立ち上げたホームページが、なんのお店かわからないんじゃ、何のために作ったのか?

でもこの言葉がすべてだったと思う。

振り出しに戻った頃、あるネットショップを堂園が偶然見つけた。京都のTシャツ屋さん。当時は岸本屋さんという名前で、今のEASYさんだ。

運営していた岸本氏は、まだ日本でもネットショッピングなんて、ほんの一握りの人しかやっていない時代に月商100万を売り上げていた。月商100万なんて、私たちから見たら雲の上のような話だ。

そして驚くことに、岸本氏はそのノウハウをネットでも公開していたし、それをまとめた本を出版するとのことだった。

堂園はもちろん、その書籍を購入し思い切って岸本氏にDMを送る。

どうしたらそんなに売ることが出来るのしょうか?

うちのホームページを見た岸本氏の意見はこうだった。

なんのお店かわからない

そう、私の兄とまったく同じ意見だった。ネットショップはもっと専門に特化すべきだ。照明を売りたいなら、家電は載せるな。そして

ちかじか東京に行く予定があるので、ちょっと一杯やりませんか?

月商100万を売っている、ネットショップのカリスマが思いがけずも実際に会って下さるという。

私たちは興奮した。購入した本を握りしめて、約束した中野のすっぽん屋にドキドキしながら伺ったのを覚えている。

何かが変わるかもしれない。

何の根拠もなかったが、岸本氏に会うことによって、何か突破口が見つかるかもしれない。

暗闇のトンネルで一筋の光をその時に感じた。

 

そして、それは現実となった。

私たちは光を見つけた。