【電子商店繁盛記 Episode=0 】青春18キップ

1台売れたものの、その後はまた鳴かず飛ばずのネットショップだった。

私は相変わらず夜のアルバイトは続けていたし、会長への売り上げ報告も引き続きあり胃の痛い毎日だった。

義理の父との喧嘩も頻繁な毎日だった。そんな同居1年目の年末。さすがにこの家で大晦日やお正月を迎えるとなると気が滅入った。そんな時、大阪に転勤していた兄夫婦が年末遊びに来ないか?と誘ってくれたのだった。

新幹線や飛行機のお金を工面できないこともない。しかし、こんな状況で大阪に行くなんていうことは会長に言い出しにくかった。といって、やっぱりここで年越しすることはしたくない。そんな時、ふと思い出したのだ。青春18キップの存在を!やはり以前に会長自身が大阪に行く時に、青春18キップを買い、当時1800円前後で大阪に行ったということを。

若干の後ろめたさを感じつつも、12/29の夜中に出発した。青春18キップとは5枚つづりの回数券のようなもので、5回JRの普通列車に乗り放題できる。当時は確か1枚¥1800だったと思う。2人なので¥3600で大阪に行けてしまうのだ。でも普通列車なので、大阪までは15~6時間もかかるのだ。

しかし、家をしばし出られるという開放感と、ちょうど日の出の時刻に静岡あたりの海岸沿いを走るので、朝陽に照らされた海を車窓から見た時は、すべてを忘れるくらいに嬉しかった。

しかし乗り換えるたびに、携帯の着信に入った会社からの電話に折り返し、入金があるだの、ないだの、お金が足りないだの電話口で堂園と義理の父が喧嘩していた。そのたびに力が抜けたが、それでもやっぱり大阪に行きたかった。

大阪の兄のうちに着いたのは、もう21時は過ぎていたと思う。おおよそ事情は知っていた兄夫婦は、翌日から大阪の美味しいものをたくさん食べさせてくれたし、色んなところにも連れていってくれた。関西のお正月がどういうものなのか?というのも見れたし、東京のことは忘れて楽しんだ。

結局3泊くらいお世話になったのだと思うが、ふたたび青春18キップで東京に戻る日となった。

また東京に戻り大変な毎日が待っているだろうけれど、それはそれで仕方ないことだし、それを抜け出すために頑張るしかない。楽しい日々とのお別れは寂しいけれど、また気持ちを新たにと思っていた。

だが、駅に行くバスへ乗り込み、バス亭に見送りに来た兄夫婦に手を振ろうと思って2人の顔を見たとたんに、もう涙がこみ上げてきてしまった。もちろんそんな涙を見せることは出来ないし、何より恥ずかしい。姿が見えなくなるまでは、ぐっと我慢していたし、バスの中で泣くなんて出来ないとずっと我慢していたが、京阪電車に乗ってからは涙が溢れて、溢れて、ずっと下を向いているしかなかった。

気持ちでは割り切っていても、ぐっと押さえていた何かが兄夫婦のなんともいえない心配そうな顔をみた瞬間に、一気に溢れ出てしまったのかもしれない。

私たちはやっぱり大変な状況に居るのだな、と思った。

そして、やっぱり私は帰りたくなかったのだ。気持ちにウソはつけても、体は正直に反応したのだ。

行きの道中は色々思い出すのだが、そんな訳で帰りの道中はまったく記憶がない。

たぶんもう思い出したくないことの1つなのだ(笑)

 

しかし、大阪から帰ってきて、いよいよネットショップは動きだすことになる。

生ハムの原木

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仕事関係の方々からのリクエストで光が丘公園でバーベキューを開催しました。
今回の目玉は生ハムの原木です。
どうです?こんなの見た事ないでしょう(笑)
グルメミートワールドさんからの差し入れです。
30人で美味しく頂きましたが・・・
全部は食べきれず、我が家のお土産となりました。
また、次のバーベキューで活躍してくれるでしょう。