この電子商店繁盛記 Episode=0を書き留めてきて、色んなことが頭の中で整理が出来てきた。本当はもっともっとエピソードもあり、書く予定でいたのだが、頭の中が整理できると共に書き留めてきたものが、綺麗に心に収まった気がして今まで時々悶々と考えていたことが、最近ではまったく考えないことが多くなった。時が過ぎて忘れたというものではなく、自分の中で納得し、もうこれから生きていく上の中でそれらのことは改めて引き出す必要がなくなったのかも知れない。
書くことにより、自分がいかに思い違いをしていたか?ということも多々感じた。
つらいことも多かったが、今では恨む気持ちもないし、また思い出とは違う、私たちにとっては自信に繋がるいい経験だったと言えるようになった気がする。
書くことにより、今までのことを整理するのはある意味必要な作業だったのだと思うし、それを私たちの日記によって書けて残せたことは本当に幸せなことと感じている。
そして唐突ではありますが、これが最後のエピソードとして残そうと思います。
2000年の話。
私はその日、なんだか仕事もする気もわかずに、皆が階下で仕事していたが1人、布団から出られないでいた。
同居4年目。もうそろそろここから出たい。その願望が日に日に強くなったし、やはり仕事、同居という2つをこの狭い家で行うことは精神的にも限界だったので、そうやって時々起きれない日があった。
売り上げは順調に推移し、入荷した商品が倉庫に収まりきれずに、食卓を占拠した日も多かった。特に雨の降る日は、半分ガレージの倉庫は商品がぬれてしまうので、事務所、食卓、置けるところにはどんどん商品を高く積み上げた。
時々、その商品が崩れて顔面に当たって、その時は本当に情けなかった。
でも売れていることは何にも変え難い。嬉しいと共に、情けなくもある複雑な気持ちだった。
そんな日常の毎日で、起きれずに布団でぐずぐずしている時だった。
階下から階段を駆け上る音がした。堂園だった。
部屋に入るや否や
「やったよ!賞をとった!」
日経ネットビジネスという雑誌が主催のECグランプリ2000で部門賞を頂いたのだ。
賞を取るということは、メディアからも注目されるし、ユーザーさんへの信頼にも繋がる。
何より、今までやってきたことを正式に認められたということだ。
本当に嬉しかった。
2人で抱き合って喜んだ。
そして、それを機にいよいよ、住居を独立する決心をしついに駅前の賃貸マンションに引っ越すことになった。
同居4年。ついにそれに終止符が打たれたのだ。
夜逃げ同然といわなくても、こっそりとアパートを出た4年前。
ここからいつになったら出られるのか?とただただ、恨んで義理の両親に喧嘩して噛み付いた日々。
夜中に頭を抱えて、これからどうしようかと話あった日々。
どす黒い闇の階段。
そんな4年間を過ごした実家から私たちは出た。
それから現在まで14年。
もちろん、順風満帆で来たわけではない。今でも多くの問題も抱えているが、私たちは今、自分の分譲のマンションを2つもち、そのローンを返すべく一生懸命頑張っている(笑)
借金生活は未だ変わらないということになるが、自分たちのために、自分の力で生きている。
ただ、まだまだ人より遅れてようやくスタートラインにたって、今少しだけ進んでいると状態は変わらない。
これからも絶え間ない努力が必要だし、あの大変な時期に後戻りすることがないよう頑張って行かねばと思っている。
不定期で、つたない文章を影ながら読んでいただいた皆様。
本当にありがとうございました。
この場を借りて御礼申し上げます。
照国電機株式会社 代表取締役副社長
堂園 亜佐子